腎は全身の水分調整を監督する臓腑です。
水分調整には、他にも脾・肺・肝・三焦・膀胱・小腸といった臓腑も関与しますが、腎はとりわけ*五行説で「水」の性質を持つ臓とされるので、特に大きな役割を果たします。
手足の浮腫みのように、水分のコントロールが上手くいかず水があふれるような状態になった病気は、他の臓腑に病因があったとしても、腎の状態を必ず意識します。
反対に手足が火照る・水分不足になったらすぐに頭が痛くなる・皮膚や粘膜の乾燥がきつい・・・というような、身体が「水枯れ」のような状態になっている時も、腎が必要な水をキープする力を失っている為に起こっていることもあるので、同じように注意します。
腎の力が弱ってくると、腎の仕事の代表格である「固定する」力が弱くなるので、頻尿や夜間尿に尿切れが悪くなるなど泌尿器の症状が顕著になるほか、膝や腰が慢性的に痛む・あるいはだるいといった症状を呈しやすくなります。
ご高齢の方に、頻尿・腰痛・膝痛がお約束のように多いのは、腎の弱りは「加齢と共に、遅かれ早かれ、必ず進行する」という宿命があるためです。
(あ、手足が火照ったり、皮膚粘膜が乾燥するのも、高齢になると多いですね。やはり腎の弱りが原因にあることが多いです)
しかし腎の弱りは、高齢でなくとも条件さえそろえば、若い人にも起こります。
続きます(^^)
*五行説・・・東洋医学の基本的な考え方の一つで、自然界に存在するものや事象(季節の変化など)を「木」「火」「土」「金」「水」の性質で分けて捉える考え方。他に東洋医学の思想には、「天人合一思想」があり、人間のしくみもまた、自然界のありように倣う、と考えており、人体の臓腑も五行の性質に分けて捉える。
木=肝臓、火=心臓、土=脾臓、金=肺、水=腎臓・・・といった具合である。