時々、患者さんとお話ししていると、「健康にいいかと思って、太極拳をやっているんだけど、かえって腰が痛くなった」、「ウォーキングを頑張って続けているが、関節痛が酷くなった」という話を耳にします。
私も多くの場合、養生法として「おさんぽ」を進めますし、太極拳やウォーキングも本来は身体によいものでお勧めしたいものです。
現代人の多くは、運動不足・ストレス過多・疲れすぎ・食べ過ぎ(栄養の偏り過ぎ)から病気になるのがほとんどですから、運動しながらストレスを発散できれば、それだけで病気がよくなる方もいるぐらいです。
なのに、健康に良かれと思って始めた運動で、なんでかえって身体が故障するのか??
考えられる原因は、2つあると思います。
一つは、「やり過ぎ」
その時点では、体力を大きく損なっていて、現在の体力から比べると過重労働になってしまう運動をしている場合。
東洋医学では「気虚」と呼ばれるエネルギー不足の状態になっている方が、あんまり運動を頑張ると、かえってアチコチの痛みが悪化したり、酷い疲れを覚えたりします。
この場合は、単純に運動量を減らせば問題ないです。
また、運動負荷のかかり方に問題がある場合もあり(無酸素運動の時間が多い、とか)、運動の種類を変えないといけないケースもありえます。
もう一つ、これは「気虚」を起こしてるわけでもない、それなりに体力があるにも関わらず、運動すると症状が悪化したケース。
よくよくお話を聞いてみると、運動するときに「力んでいる」方。
これ意外と多いかも。
「歩くのが健康にいいと聞いて、背筋を伸ばして、腕を振って、毎日○○時間、欠かさずやってます!」
「運動不足になっちゃいけないから、ジムに通っています!」
「太極拳を〇年欠かさず続けています!」
頑張っていただけるのはホントに嬉しいんですが・・・
けど、それなのに、なんでか調子が悪い。
腰が痛い、足が痛い、関節が痛い、頭痛がする、etc...
これは先に挙げた現代人の病気の原因の一つ、「ストレス過多」が大きく関与している可能性があります。
ようするに「義務的に、気合入れ過ぎて、クソ真面目に」運動している場合。
歩くとき・走るときは背筋や腕の振りをキチっとしてやる。
ジムは筋肉つけるつもりで、めっちゃ「力んで」やる。
太極拳やヨガは、「型」を崩さないように「緊張しながら」やる。
時にそうしたことも必要な場面もありますが、アスリートになるんならともかく、一般人でどこかしか不調がある方が、あんまり生真面目に運動に取り組み過ぎると、かえって心身が緊張してしまい、東洋医学で「気滞」と呼ばれるエネルギーが滞る現象をかえって悪化させてしまう一因になってしまいます。
もともと「気滞」が原因で心身の不調を来した方なら尚更です。
人間は「動物」であり、本来、動き回るのを「喜んで」行う生き物です。
健康のために運動をするときも「心と身体のおもむくまま」「楽しく」身体を動かし、身体を動かした後の爽快感を楽しむようにしたとき、初めて先ほど挙げた「気滞」という現象が解除され、心身の不調が改善へと繋がります。
折角、運動を頑張っているのに、なぜか調子が悪いまんまという人は、一度、運動の仕方を見直してみるといいかもしれません。
たまにですが、一緒に運動をしている人と仲が悪い、というケースもありますが、これも「気滞」を悪化させる一因です(^^;)そういうときは、一人か仲の良い人を選んで運動するようにしましょう(笑)
私がよくお勧めする「おさんぽ」も、背筋やら腕の振りやらはあんまり気にしません。
ぶ~~~らりぶらりんと、「ほっつき歩く」。
これが一番無難♪
しいて追加するなら、木のそばや、景色のいいところで、「深呼吸」や「のび」をすることぐらいかな。
やってて「あー、E~気持ち♪」ってなるのが、一番いい運動です。
もちろんジムトレーニングや武術、マラソン、フットサルや野球など、その他何でも、ハードな運動をした後にスッキリする、という方は、それが「合っている」ということですから、ガンガン頑張ってほしいです(笑)