以前、診察で舌を診るので「舌磨き」はしないでください、というブログを書きました。
https://seikuuin.jimdo.com/2017/10/22/舌を撮ります/
当院では、舌だけでなく「爪」も診ます。
爪をみて、貧血や内臓疾患を疑ったり、爪を押して3秒以上色が戻らなかったら脱水症状を疑ったりするのは、
西洋医学の世界でも診ているポイントですが、東洋医学でも爪は大事な診察情報になります。
具体的には、
・爪の色
・爪のスジ(タテ方向、ヨコ方向)
・爪の厚み
・爪の根本の「半月」
・爪を押してから離して、色が戻る時間(脱水症状をみるわけではないんです、これ)
・爪のツヤ
これらの状態によっては、病院でも重篤な内臓疾患の兆候としてみるそうですが、
東洋医学の世界でもとても重視しています。
東洋医学の古典、『黄帝内経』には、
肝之合筋也。其營爪也(『素問』五蔵生成)
という記述があり、この考え方は長い歴史の中で発展し、爪の色から肝臓だけでなく、
全身の健康の状態を推察するのに役立っています。
爪は肝臓の状態を反映している、という上記古文は語っていますが、
肝臓は多くの血を保存し、全身の血の状態に関与する、という考え方から
特に全身の血の状態を反映していると考え、爪を通じて血の不足と余りを推察し、
診断治療をする上で大事な情報になります。
困ったことに、近年はネイルアートだけでなく、
爪のスジを整える、丁寧に磨く、という繊細なお手入れをなさる方もいらっしゃるらしいのですが、
爪の細かな筋の入り方や、微妙な色合いを整えられてしまうと、正確な診断に繋がらなくなってしまいます。
普段からネイルをしている方は、特に初めてお越しの際にはネイルを落として、お越しくださいね。