漢方と鍼灸16 大柴胡湯②

また更新が遅れてしまいました。。。

毎日欠かさずブログ更新する方とか、ホントに尊敬しますm(_ _)m

 

さて、大柴胡湯です。

 

小柴胡湯から「人参」「甘草」という「補藥」が抜けて、

替わりに「枳実」「大黄」という「巡らせる・削り取る」という「瀉薬」が入っているというところまで書きました。

 

ことに、枳実と芍藥はペアになることで「能除堅破積、助大黄之効」という大黄の効能をアップさせる作用もあるようで、「而下内熱、而去堅者・・・」と、とにかく身体の中の熱を下すは、停滞して固まったものも下すは、、、と何やら凄そうな方剤です。

許宏「金鏡内臺方議」)

 

もともとの出典『傷寒雑病論』では、

 

太陽病、過經十餘日、反二三下之。

後四五日、柴胡証仍在者、先與小柴胡。

嘔不止、心下急、鬱鬱微煩者、為未解也、與大柴胡湯、下之則愈。

 

という時に使えと書かれています。

 

「過經十餘日」。

”過經”は少し調べると「十数日、経過して」という先生と「別のステージに移行して(つまり悪化して)、十数日経って」と解釈する先生もいて、なんとも言えないですが、とりあえず最初の風邪から時間を経ても治っていない、ということです。。

 

「反って(かえって)、二三之を下す」。

反ってというのは、間違えて、という意味です。下しちゃいけない時に下してしまった。

ある段階の風邪では、便を下せば治る、という「陽明病」というステージがあります。

でも、まだ下しちゃいけない時に下しちゃうと悪化します。

そんな時に、小柴胡湯の症状があるんだったら、

「先ず小柴胡を與(あた)える」。

 

それでも「嘔(=吐き気)が止まず」、

「心下急」。。。

「滿」でも「煩」でも「苦満」でもなく、

「急」なので、「心下=みぞおち辺り」がかなり苦しい、ということらしい。

とにかく胃の辺りから脇まで苦しくてどうしょうもない。

 

さらに「鬱鬱として微かに煩する者」、うつうつイライラとしている。

 

そんな時、「大柴胡湯」を使って、「之を下せば則ち愈える」と書かれています。

 

 

大柴胡湯は、小柴胡湯が治す「少陽病」に加えて、「陽明病」という胃腸にキツイ熱が溜まっている風邪を”兼ねた”ときに使う方剤、とされます。

この「陽明病」というのを治すときは、だいたい「下して」治ることが多いので、治る時は「下之則愈」となるんですね。

 

続きます。

 

 

(参考文献)

傷寒論攷注 森立之

中国傷寒論解説 劉渡舟

傷寒雑病論 東洋学術出版社 

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