漢方と鍼灸22 麦門冬湯⑤

随分、更新が遅れてしまいましたが、とりあえず麦門冬湯の勉強は一旦区切りを付けます。

 

さて、麦門冬湯を構成する、麦門冬・人参・甘草・大棗・半夏についてまでは書きまして、 

残るは、「粳米」(コウベイ)。

“うるち米”、つまりお米のことです。

 

「お米が薬になるの!!」とお思いの方もいるかもしれませんが、うるち米は「補中益氣」といって胃腸系統を養い、古米は「フルゴメ(老米・陳米)」ともいい、のどの渇きをいやす(除煩止渇)作用もあるそうです(『中医栄養学』山崎郁子)。

 

『国語訳傷寒論』(龍野一雄)の「麦門冬湯方」では、

「玄米以外を水400㏄で煮て、240㏄まで煮詰め、滓(あく)をこし去り、玄米を入れて煮直し、米が煮えて飯になった頃、米粒を取り去り温めて、40㏄服用する。」という下りが出てきます。

 

飯になる・・・てことは、やっぱりお米ですね・・・。

 

 

 

世界中の幅広い民族で主食に用いられるように、極端な性質を持たず、慢性病で弱った人に使うのはうなずけます。

 

補中益氣という消化器系統を補う生薬の中でも、とりわけ「穏やかに」元気づける作用を持つようで、病気で食事が喉を通らない時などにお粥が古くから常用されてきたのも道理です。

 

前回も少し書きましたが、人間は食べられなくなったら死にます。

その「食べる」力の源泉とも言えるのが「胃の気」ですが、麦門冬湯は、

 

此胃中津液干枯、虚火上炎之証、治本之良法也。

 

胃がカラカラに乾いて、熱エネルギーが暴走しているような時に使えるイイ手とされます。

 

胃中津液干枯、、、とは、結構、危ない状況です。

 

こうした時に劇薬は使えず、じっくり「胃の気」を立てて、結果として肺の病を治す方向へ持っていく、という処方です。

 

そうした処方にお米が使われるあたり、やはりお米とは偉大なのですね。

 

 

特に日本人は、神道の行事などでもよく用いられ、お餅も「鏡餅」などに使われるように、信仰の対象にもなっているものです。

 

長い歴史の中で信仰の対象となってきたものには、やはり意味があるのでしょう。

 

 

 

余談ですが、麦門冬湯に限らず漢方で使われるお米はみな「玄米」です。

「玄米菜食」という言葉もある通り、健康食の代表格とも言える玄米ですが、現代人が玄米を食べるときはちょっと注意。

 

長い歴史の中で、日本人の命脈を支えてきた食物だけあって、玄米はそれ一食だけで強い力を持ちます。

まず、消化器系統(脾胃)が弱っている方は、消化不良を起こしやすく、

玄米と一緒に肉魚、その他栄養豊富なものをパクパク食べると、「栄養過多」、東洋医学でいうところの「陽気過多」になりやすいです。

 

玄米食にしてみたら便秘になったり、胃腸の具合が悪くなったと話される方がよくいますが、

先ほども書きました「玄米菜食」の言葉通り、玄米と一緒に食べるのは野菜やお味噌汁で、肉魚などは控え目にしないとバランスが崩れるようです。

 

特に玄米には含まれない必須アミノ酸が味噌には含まれて、それで必須アミノ酸がフルカバーされるのだとか。

よくできているなぁ。

 

わたしも一時期、玄米食にしてみたことがあるのですが、そもそも肉魚が「あんまり箸が進まない」印象を受けました。

一方で、梅干しや納豆との相性は本当に秀逸♪(試してみる価値はあると思いますよ)

よくできているなぁ。

 

 

しかしまぁ、玄米によらずとも栄養豊富な現代ですから、話のタネや、ちょっと体調を整えてみたいというチャレンジの機会以外は、別に無理して玄米にしなくてもいいような気がします。

 

 

・・・ただですね・・・

 

もうすこし、皆さん、お米を召し上がっていただいてもいいような気がするんですよね。

 

炭水化物ダイエットとか云々かんぬんと、なんだかお米が悪者みたいに受け取られかねないモノを見ると、

なんだかいたたまれないんだよなぁ。。。

 

まぁ、たくさんは食べられない体質の方もいますので、決して無理に食べてはいけませんけどね。

 

ボヤキで、ひとまず区切りを付けます(笑)

 

次は、桂枝茯苓丸について勉強してみましょう。

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