漢方と鍼灸21 麦門冬湯④

「青の池」は凍っておりました(´・ω・`)

えらく更新が遅くなりましたが、そろそろ麦門冬湯の勉強も一区切りつけます。

 

麦門冬湯を構成する生薬

 

麦門冬(バクモンドウ)については①

人参(ニンジン)については②

甘草(カンゾウ)・大棗(タイソウ)については③で書きました。

 

残り、粳米(コウベイ)と半夏(ハンゲ)について。

 

半夏は、結構前に書いた小柴胡湯や小青竜湯にも入っていて、「半夏生」のブログでも触れてましたね。

https://seikuuin.jimdo.com/2019/07/02/%E4%BB%8A%E6%97%A5%E3%81%AF%E5%8D%8A%E5%A4%8F%E7%94%9F/

 

ざっくり言っちゃうと、ノドの辺りの痰を下して通りを良くする薬、なんですが、麦門冬湯では半夏が入っているのがいい仕事をしている、と清代の医家・喩嘉言著『医門法律』にこんなくだりがあります。。

 

・・・麥冬、人參、甘草、粳米、大棗、

大補中氣,大生津液、

此中增入半夏之辛温一味,

其利咽下氣,

非半夏之功,

實善用半夏之功,

擅古今未有之奇矣。・・・

 

 

大補中気、大生津液=

”中気”とは胃の辺りの消化器官のエネルギー、”津液”は身体を潤す体液、これらを大きく増す薬剤の中にあって、

 

增入半夏之辛温一味=

半夏という辛温(=辛く温める、つまり本来は津液を生じさせる″潤す”生薬の集団の中にあって矛盾する生薬)の薬を一つ追加することで、

 

其利咽下氣,非半夏之功,實善用半夏之功

(熱が籠って)痞えていたノド辺りの通りが良くなる。これは半夏の手柄というより、半夏の使い方が絶妙なのだ(※意訳)

 

今も昔も、これ以上に絶妙な使い方はないでしょー(擅古今未有之奇矣。※勝手に意訳(..))

 

と絶賛しています。

 

これだけ書かれてもなんのこっちゃやらですが、治療する上で一見矛盾するような薬を入れるのには、深~いワケがある、という程度に考えて頂ければいいと思います。

 

鍼治療でも、一見、補法の治療しかしようがないような患者さんに、敢えて瀉法に打って出ないといけない場面とかは、よくあります。

 

全体としては元気を付けないといけないんだけど、ちょっと”つっかえ”があるせいで、なかなか元気が回らない、、、みたいなイメージでしょうか。

(もちろんタイミングを間違えたら悪化します)

 

 

この喩嘉言(1585~1664)先生、

 

活躍された当時は、金元時代(1115~1368)に多く記された、処方が細かく記載されている医学書ばかりが珍重されて、より古い時代の『傷寒論』や『黄帝内経』があまり勉強されず「病気のメカニズムをキチンと理解せず、便利な処方ばっかり尊ばれている」ことに警鐘を鳴らした先生だそうで、

(金元時代に活躍された先生方も、当然、『黄帝内経』や『傷寒論』を学んだうえで、便利な処方が載った医学書を残されたのでしょうが、時代が下って「なぜそうなるのか?」というプロセスをすっとばっして、ホイホイ処方するお医者さんが多かったんですかね?? とにかく金元時代の医学書も名著と名高く、現代の伝統医学に大きな影響を残しているものが多々あります)

 

 前述の『医門法律』は「一言でいえばヤブ医者根絶を目的とした医学書で、はじめは些細なことでも、あとに大きな開きが出る過失を明らかにし、、、補でも瀉でもない、どっちつかずの治療で悪化させた例を暴き出している」(『四庫全書提要』)んだそうです。

 

・・・背筋が伸びます(;゚Д゚)

 

 

余談ですが、この『医門法律』の麦門冬湯の下りで、

 

”凡肺病有胃氣則生、無胃氣則死。”

(肺の病は「胃の氣」があれば助かり、「胃の氣」がなければ助からず死ぬ)

 

という一節が出てきたのが、個人的には「お!」と思いました。

 

「胃の氣」というのは、東洋医学では狭い意味ではまんま「胃のエネルギー」ですが、広い意味では「生命力そのもの」とされます。

人間は飲食物を正しく分解・消化・吸収して、はじめて命を繋ぐことができます。

食べられなくなったら、そろそろ危ない…とは、いろんなところでまことしやかに聞く話ですが、食べて命を繋ぐという行為自体が、生きることそのものとして、古人は「胃」に特別な意味を見出したのかもしれません。

 

この「胃の気」に着目して、独自の脈診法「胃の気の脈診」を提唱されたのが、私も勉強させていただいている「北辰会」の藤本蓮風先生なのですが、歴代の医家の説を広く研究して提唱されたとは聞いていましたが、こんなところでも同じようなところに着目していた大先輩がいたんだな~と感慨深く読ませて頂きました。

(『医門法律』では他にも「胃の気」に着目しているっぽい記述が見受けられました。今度、しっかり読んでみたいと思います。)

 

気ぃ引き締めて、脈を診させて頂かねば。

 

 

さて、脱線してしまいましたが、

残るは、「粳米」(コウベイ)。

“うるち米”、つまりお米のことです。

 

漢方薬にお米が入っているらしい。

 

次回に粳米について書いて、麦門冬湯は一区切りとします。

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